『コンセプト』採れたて新鮮、鎌倉地ミュージック!(1)

かれこれ十数年前のある一時期、僕らは狂気のごとく、いや何者かに取り憑かれたかのように、ひたすら音楽をつくり続けていた。

それも、「全編書き下ろし」、「オリジナルアレンジ」の、「趣向の異なる多数のユニット」でのアルバムを毎月リリースし、リリースライヴを行うという暴挙を実に24カ月連続、つまり2年間ぶっ通しで継続するという、ギネス級の制作ペースで、結果、燃え尽きたのだった。

それもそのはずで僕のレーベルのコア・メンバーは僕自身と相棒のなかもと君のみ。
演奏、作・編曲、作詞は僕自身が、制作面では、なかもと君がエンジニアと編集を担当、そしてもちろん演奏も全曲参加。デザインは分担して交互に行うというものだった。

それを1カ月で完成させ、リリースにまでこぎ着けるということを 24カ月続けたのだから我がことながら呆れるばかりだ。

あの情熱の源は、いったい何だったのだろう。
今となっては、少しも思い出せないし、また同じことが 出来るような気もしない。だから、そうだからこそ、あの2年間がとてもいとおしく、貴重な時間だった、と思えるのだ。

そして、それこそが創作活動の在り方なのだろうし、音楽のあるべき姿だった、といえる所以だと思う。
アイデアや構想もアレンジも歌詞も曲も、無尽蔵に湧き出る泉のごとく、どこからか降ってきて、さしたる困難を感じることもなく作品に仕上げていたし、リハ=本番のようなタイトなスケジュールの録音ですら、そこにいる全員で楽しめていたのは、もうまさに音楽の神のなせる業だったはずだ。

音楽を奏でるということと、音楽を創るということでは、いささか趣を殊にする訳だが、それを包括的に同じ熱量をもって出来るレーベルというのは案外少ないのでなはないか、と思う。
まして、DTMでもカバー物でもなく、全編アコースティックでのオリジナル録音というのはまさに希有といえるだろう。

 

と言う訳で、この文字通り神懸かっていた2年間というものは 、僕らの音楽活動において特異な期間であったし、ある種の勲章でもあると言っても過言ではないはずだ。そして、それを裏付けるものは、世間の評価でも、売上枚数でもなく紛れもなく自分たちが得た充足感と消耗度の大きさ、そして手許に残された得難い音源の山という訳だ 。

その、ともすれば自己満足で終わってしまいそうだった音源たちが、今回、天才・前田嬢率いるstudio iota label(スタイジオ イオタレーベル)とのコラボによって、世界に配信される機会を得ることができるという。

当人たちは、もう10年以上前の出来事ということもあり、実のところ熱は冷めている。一時に熱く燃え上がる熱というものは、冷めるのも早いものと決まっている。
とはいえ、当時の僕らの狂気や打ち込み具合を間近に見ていた家族や友人たちは、きっと良かったね、報われたね、と微笑んでくれるに違いない。
それでいいのだ、それでいい。

✴︎

ちなみに、 レーベル名になっているタクトルスティコというのは、スペイン語で『粗削りなやり方 』 というようなというようなニュアンスの言葉。
現場の臨場感や演奏家の息遣い、感情の起伏や瞬発力、一体感などを十分ではない機材を駆使して、どう捉えきるか〜 そんなことに腐心した音楽制作の記録、と思っていただけたら幸いに思う。

だから、言い訳のように聞こえるかもしれないが、決して演奏の質が高い訳でもないテイクも、リハが十分でないことによるアンサンブルの乱れも散見されるに違いない。
それでもあえて収録する、パッケージ化に加える〜 その意味を問われることにこそ 、僕らの存在する意義があるのだと思う。

なぜなら、そこには伝えたい演奏家のパッションや得難いグルーヴや 、エモーショナルな瞬間がひそかに確かに輝いているから。

 

ライター 黒澤邦彦(tacto rustico label/Founder, Musician)

黒澤邦彦(中世音楽家、民族楽器演奏家、作・編曲家、プロデューサー)
30年以上にわたる中世ヨーロッパ音楽家としてのキャリアに裏打ちされたマルチ・インストゥルメンタリスト。管弦打楽器をさまざまに操り、ブラジル音楽、ケルト音楽、アラブ音楽、アフリカンゴスペル、など多岐にわたる分野で活動中。
これまでに『AEORUS』『NRP Records』両レーベルから計7枚のリーダーアルバムを発表したほか、Final Fantasy IXの音楽制作などにも携わる。鎌倉を拠点とする極私的レーベル『tacto rustico』にて異なるジャンルの24枚のアルバムをリリース。

 

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【鎌倉の街からワールドミュージック】

 

湘南の腹ペコミュージシャンは、みーんな大好き。江ノ島電鉄線・鎌倉駅より徒歩2分にある、隠れ家的なカフェ・ワンダーキッチン(WanderKitchen) のマスターの、民族音楽レーベル『Tacto Rustico』の作品を、studio iota labelより一挙250曲リリース!

今回はトラディショナルなケルト音楽の入門編と、新しい応用編のアプローチを2作同時にリリースです。

第一弾は「ケルト音楽の郷愁」「ケルト音楽の新しい地平」で検索!

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ぜひ焚火動画と一緒にご鑑賞下さい🙌

 

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【studio iota label】

日本の音楽レーベルstudio iota labelではCDの制作・販売、WEBコンテンツの発信、企業のWebライティング、動画BGM製作、アーティストやお店などの写真撮影、作曲・編曲事業、レコーディング・ミックス事業などを行っています。

 

世の中に作品がリリースされる日は、何度だって胸が踊ります。
同時に気が引き締まる思いです。
商業でも表現でも、作り手の途方もない鍛錬と時間の重み…!そこに誠実に。
音楽を届ける力になれますように🕊(前田紗希)

【ウェブサイト】http://studio-iota.com/
【Facebookページ】https://web.facebook.com/iotabi
【note】https://note.mu/nagareruiota